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買収候補の薬局を選ぶポイント(上巻)
案件概要書の「数字」から読み解く収益性とリスク

買収候補の薬局を選ぶポイント(上巻)<br>案件概要書の「数字」から読み解く収益性とリスク

独立を志す薬剤師にとって、ゼロから立ち上げるよりもリスクを抑えられるのが「M&Aによる薬局の買収」です。しかし、数ある案件からどれを選ぶべきか、判断基準に迷う方も多いでしょう。

今回は、買収候補を選ぶ際の最重要書類である「案件概要書(ノンネーム・シート)」の読み方とポイントを、上下巻に分けて解説します。

1. 買収候補を選ぶ際の「3つの軸」

案件を精査する前に、まずは自分の戦略に合致しているかを以下の3軸で評価します。

・技術料の安定性:
処方箋枚数はもちろん、「地域支援体制加算」(地域支援・医薬品供給対応体制加算)などの上位加算が取れているか(または取れるポテンシャルがあるか)を確認します。

・人員構成と採用コスト:
薬剤師と事務員の構成、そして給与水準をチェックします。派遣・パートへの依存度が高い場合、買収後に利益が圧迫されるリスクがあります。

・処方箋の集中度とリスク分散:
特定のクリニックに100%依存している場合、その医院の閉院がそのまま薬局の倒産に直結します。在宅業務の実施状況や、面での受け入れ態勢もチェック対象です。

2. 案件概要書(IM)のここを見る!重要チェック項目

詳細な資料(IM:インフォメーション・メモランダム)を開示された際、特に注視すべきは「数字の裏側」です。

① 損益計算書(P/L)の「実態利益」

表面上の営業利益ではなく、「修正後営業利益」を算出します。

・役員報酬: オーナー社長が相場より高く取っている場合、その分は買収後の利益増としてカウントできます。

公私混同費用の排除: 交際費や車両費など、事業に不要な経費を差し引いて実 態を把握します。

② 処方箋単価と薬価差益

・薬価差益が異常に高い場合、不適切な購入ルートや過度な値引き交渉が行われている可能性があり、買収後に維持できないケースがあります。

・技術料の構成比を確認し、特定の加算(例:後発医薬品調剤体制加算)に依存しすぎていないかを確認します。

③ 従業員の労働条件

・残業代の未払いはないか、社会保険の加入状況は適正か。これらは買収後の「隠れた負債」になります。

3. 失敗しないための「目利き」のコツ

案件概要書には「良いこと」を中心に書かれます。プロが必ず行う裏取りは以下の通りです。

・ドクターとの関係性: 概要書には「良好」とあっても、実際は賃貸借契約で揉めていたり、門前ドクターが引退を考えていたりすることがあります。

・返還リスクの有無: 過去の指導・監査の結果や、調剤報酬の不適切な請求疑いがないか、デューデリジェンス(資産査定)で徹底的に洗う必要があります。

まとめ:数字以上に「現場」に答えがある

案件概要書はあくまで「入り口」です。書類でアタリをつけたら、必ず現場の視察(外観チェック等)を行い、地域の競合状況や患者さんの流れを肌で感じることが、M&A成功への一番の近道です。下巻では、数字の裏側にある「現場の実態」をどう見極めるかについて解説します。

【速攻判別】 独立希望薬剤師のための案件チェック表

チェック項目 理想 ポイント
ドクター年齢・性格 40~50歳代 高齢による閉院リスク
ドクターとの人間関係
処方箋枚数 1日30〜40枚 15枚以下は赤字、
40枚以上は1人では回せない
処方科目 内科・耳鼻科・小児科
(処方箋が多い科目)
心療内科などでは処方箋がでるか
加算 地域支援体制加算の
「実績」あり
買収直後の利益
(自分の給料)に直結
従業員構成 転籍可
(特に事務職員)
買収後の採用コスト増のリスク
賃貸借契約 不動産オーナーとの契約 契約できるかどうか
家賃引上げ等のリスク